ふたりの関係-1 ページ7
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とある休日の昼下がり。
テレビを観ているうちにどうやらウトウトしていたらしい。
鼻のあたりがなんかムズムズする…。
「…あ、起きちゃった」
「……え、」
パッと目を開ければ、真ん前に綺麗なお顔がドーンと。
長めの前髪がわたしの顔に触れるほど近くに。
「…藤原、くん…」
「ん?」
「えっと…、なに、してるの…」
「んー、まだなにもしてない」
「…まだ?」
「うん」
友達だって家族だってこんな至近距離で話すことないよ、ってくらい近くない?
藤原くんの両腕は、ソファでうたた寝していたわたしを囲むように背もたれに突っ張らせていて。
……なに、この状況。
「藤原くん…あの、…」
「なに」
「いや、ちょっと…その、近い、ね?」
「そう?」
ほんの少し首を傾げてとぼけた顔してる…。
これ絶対に「離れて」と言ったら「なんで?」って答えるやつだ。
藤原くんのペースに巻き込まれないうちに。
今の状態から脱却するために、床に向かってズルズルと体を滑らすようにずり下げて…。
と、ぐいっと脇の下に入れられた手がわたしを元の場所に引き上げて戻した。
やっと離れた藤原くんを見上げる。
「…A、おバカでしょ」
「なんでよー」
「あのままいったらどこにAの顔くると思う?」
「……あ、」
「…ね?」
そうだ、あのままだと藤原くんのお腹というか…そのもうちょっと下の方に顔面が着地。
あぶない…とんだ変態になるとこだった…。
トスンと隣に座った藤原くんは、今の行動で乱れた後頭部の髪の毛を直してくれる。
「…藤原くんが悪いんだよ」
「どうして?」
「だって…近すぎ…、何しようとしてたの」
「…ほんとにわからない?」
もう元通りになったはずの髪の毛を梳く指はとても優しくて困る。
…本当はわかってるよ。
さっきのは、キス、しようとしてたでしょ。 そういう空気だったってわかってる。
でも雰囲気に呑まれて流れで…なんて、それはちょっとイヤだなって思うのは変かな。
だってわたし達はそういうんじゃないでしょう?
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ちょる(プロフ) - 優希さん» うわぁ…嬉しいお言葉どうもありがとうございます!優希様を少しでも癒せているのなら良かったです。頑張って更新しますね! (2020年8月29日 0時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 5周以上読み返しています笑樹くんも彼女も可愛くていつも癒されていますこれからも応援させてほしいです(^^)頑張ってください! (2020年8月25日 21時) (レス) id: 307e0556dd (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - やのさん» コメントどうもありがとうございます!やの様のお宅にも天使ちゃんがいるのですね〜嬉しい偶然でした。少しずつですが更新頑張りますね! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
やの - 偶然にもうちの愛犬と同じ名前でビックリ 笑 これからも更新頑張ってください! (2020年6月14日 17時) (レス) id: 5ec2e089be (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - ゑ。さん» 感想頂きどうもありがとうございます!猫のようにマイペースな感じが出てたら嬉しいです。少しずつお話増やせるように頑張ります。 (2020年5月3日 22時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょる | 作成日時:2020年4月28日 21時