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喧嘩するほど ページ32

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「はーい、じゃあまたね」


電話を切って一息つく。
部屋を出れば、キッチンから藤原くんが顔を出した。


「Aもアイスコーヒー飲む?」

「あ、飲みたい」

「ちょっと待ってて」


待っててと言われたものの、なんとなくそちらに足が向かう。

氷を入れた背の高いグラスに注がれるコーヒー。
わたしの方には半分くらいで、もう半分は牛乳が注ぎ足されてガムシロップは2個。 アイスコーヒーというか甘いアイスカフェオレ。


「はい」

「ありがとう」

「…またケンカしたって?」

「うん、いつもの感じだね」


シンクのところに寄りかかって、並んで立ったまま話す。

さっきの電話は中学からの友達で、今は遠く離れたところで生活している。
しばらくその子とは会えていないんだけれど、彼氏とケンカしては怒ったり泣いたりしながら電話をしてくる。

それでも結局は別れたりもせずにいるんだから。


「喧嘩するほど仲が良い、の見本だよあれは」

「Aに愚痴ったら忘れちゃうんじゃない?」


そんなことを喋っているうちにふと気付く。
藤原くんとケンカなんてしたことないなあって。


「そういえばケンカしたことないね」

「…したいの?」

「そういうわけじゃないけど」

「まあ…俺らって怒りが持続するタイプじゃないし」

「…そうかも」


負の感情を持ち続けていることが疲れちゃうんだよね…そもそも藤原くんは他人を怒らせるような人ではない。

でも…逆だとどうなんだろう。


「藤原くんは何かないの?」

「…なにが?」

「わたしのこんなとこイヤだな〜とか…ケンカの種になるようなこと」

「ん〜…別にない」

「…ほんとに? ガマンとかしてない?」


ちょっと心配になって訊いてみたけど、首を横に振った藤原くんはチラッとこっちを見て、いつもみたいに優しく笑う。


「薄まっちゃうから飲んで」

「あ、うん」

「…俺はAに不満なんてないし…喧嘩するほど仲が良い、だっけ?」

「うん」

「そんなの、喧嘩しないで仲が良い、の方がよくない?」

「たしかに」


そりゃあそうだ。
例えばケンカが新鮮に関係を保つためのスパイスになったとしても、それはきっとわたしたちには必要のないもの。


これからものんびりとわたし達らしく。
ずっと仲良しでいようね。



end

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ちょる(プロフ) - 優希さん» うわぁ…嬉しいお言葉どうもありがとうございます!優希様を少しでも癒せているのなら良かったです。頑張って更新しますね! (2020年8月29日 0時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 5周以上読み返しています笑樹くんも彼女も可愛くていつも癒されていますこれからも応援させてほしいです(^^)頑張ってください! (2020年8月25日 21時) (レス) id: 307e0556dd (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - やのさん» コメントどうもありがとうございます!やの様のお宅にも天使ちゃんがいるのですね〜嬉しい偶然でした。少しずつですが更新頑張りますね! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
やの - 偶然にもうちの愛犬と同じ名前でビックリ 笑 これからも更新頑張ってください! (2020年6月14日 17時) (レス) id: 5ec2e089be (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - ゑ。さん» 感想頂きどうもありがとうございます!猫のようにマイペースな感じが出てたら嬉しいです。少しずつお話増やせるように頑張ります。 (2020年5月3日 22時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょる | 作成日時:2020年4月28日 21時

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