同じクラスの男の子-1 ページ2
.
「これ落としたよ」
そう声をかけられたのは昼休みのざわざわした廊下。ちょうど教室を出たところで。
振り返れば同じクラスの藤原くんが立っていた。
「ん、」
「え?」
目の高さに見えるように藤原くんが持っていたのは一枚の写真。
小さな頃の自分が、茶色い大きなトラ猫を抱えてカメラに得意げな顔をしてる。
手帳に挟んであったのが知らない間に落ちてしまったのだろう。
「そうみたい、どうもありがとう」
ちゃんとお礼を言いつつ受け取ろうとしたのに。
なぜかそのまま返されることなく、写真をじぃっと見る藤原くん。
「あの…?」
「これ、佐々木さん?」
「うん」
「ふぅん…」
え、なに。ちっちゃい時の自分の写真持ち歩いてるとか変だったかな。
でもお気に入りの写真なんだもん、別にいいでしょ。
人の写真を眺めてつまんなそうにも見える藤原くんの顔。
改めて真正面から見てみると、すっごい整ってて非常にお綺麗。
高校入学からしばらくしてちょっと噂になってたもんね。
1年生にすごいイケメンがいる、って。
2年生になって同じクラスになったけど、あんまり喋ったことなかったなぁ。
そんなことをつらつらと考えてると、やっとこっちに写真を差し出してくれた。
「いい写真」
「それはありがとう」
「可愛いね」
「へ?」
「おっきい猫」
「あっ、あー猫…、猫ね、うん」
可愛いね、に過剰に反応しちゃった。
もうやだ恥ずかしいわー。
目が泳いでませんようにと思いながら写真を受け取った時だった。
「佐々木さんはまっすぐ帰るの?」
「え、あ、そうだね。 部活もしてないし」
友達との約束も今日はなし!
っていうか急に何?
「じゃあ見に行っていい?」
「…うん?」
「ありがと、それじゃあまた後で」
…ん? ありがと…って?
藤原くんてものすっごくマイペースな人なのかな。
きちんと会話が成り立っていた気もするし出来ていないような気もする。
とりあえずちょっと意味が分からなかったものの、
「あ、そうだった」
昼休みが終わりそうな事に気付き、慌てて行こうとしてたトイレに向かった。
.
502人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょる(プロフ) - 優希さん» うわぁ…嬉しいお言葉どうもありがとうございます!優希様を少しでも癒せているのなら良かったです。頑張って更新しますね! (2020年8月29日 0時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 5周以上読み返しています笑樹くんも彼女も可愛くていつも癒されていますこれからも応援させてほしいです(^^)頑張ってください! (2020年8月25日 21時) (レス) id: 307e0556dd (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - やのさん» コメントどうもありがとうございます!やの様のお宅にも天使ちゃんがいるのですね〜嬉しい偶然でした。少しずつですが更新頑張りますね! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
やの - 偶然にもうちの愛犬と同じ名前でビックリ 笑 これからも更新頑張ってください! (2020年6月14日 17時) (レス) id: 5ec2e089be (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - ゑ。さん» 感想頂きどうもありがとうございます!猫のようにマイペースな感じが出てたら嬉しいです。少しずつお話増やせるように頑張ります。 (2020年5月3日 22時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょる | 作成日時:2020年4月28日 21時