猫みたいな彼と彼女のお話

知らなかったこと ページ9

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実家に帰ってお母さんに、藤原くんとのお付き合いを打ち明けた時のこと。


「あのね、一応言っておこうと思って」

「なあに、改まっちゃって〜」

「わたし…彼氏が出来ました！」

「彼氏？」

「うん」

「…え、あの子と別れたの？」

「あの子？」

「樹くん」

「なんでお母さんが名前で呼んでんの！？」

「え〜お父さんなんて『おい樹』なんて呼び捨てだけど」

「お、お父さん！？」

「それより別れちゃったの？」

「いや…だから、彼氏になった…」

「は？ 樹くん？」

「そう…あの、ウチによくきてた、藤原くん…」

「やだビックリした〜別れちゃったのかと思ったじゃない」

「……」



知らない間に家族と仲良くなってたとか。
…どういうこと？


◇◇


というわけで早速聞いてみたところ驚きの事実が！


“…別に隠してたわけじゃないし。
取引先に打ち合わせ行ったら、たまたまAのお父さんがいる会社だったんだよ。

え？ 高校生の時とか会ってるじゃん。
夕飯ご馳走になった時とか結構…うん、そうでしょ？

で、通りかかって「あれ？」ってなって。
で、向こうの担当者が「お知合いですか？」って。

それで…どうしたんだっけ…。

ああ、なんかAのお父さんの横に女の人がいて「息子さんカッコイイですね」とか言い出して。
…てか、自分でこんな話すんのイヤだな…まあいいけど。

そりゃもちろん「息子じゃない」って否定して。
そしたらお父さんが「娘の恋人だからナントカさん狙っちゃだめだよ〜」って。
なんだったっけなあの人の名前…ちょっと思い出せないけど。

あれ…言ってなかったっけ？

…まあそれで時々飲みに誘ってくれたり、いろいろ…。
お父さんの連絡先？ 勿論知ってるけど。”



話してる藤原くんの表情からは、本当にわたしに言ったと思ってるのかいつもみたいにとぼけてるのか…わからない。

っていうかお父さん！

確かに最近実家に戻ってもすれ違いであまり会えなかったけどさあ。
わたしとは飲みに行ったりなんてしたことないのに…。 連絡だってめったにしてこないのに…。
娘って可愛いもんじゃないの？


とまあ…なかなか衝撃だったけど。

仲良くしてくれてるなら、まあいいか。


end

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