※ちょっとした小話※ ページ39
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「こんばんは、お嬢さん」
そう声をかけられたのは、家の庭に一人でいた時だった。
「…だあれ?」
「さて、誰でしょう」
音もなく知らないうちに目の前に立っていた人。
黒づくめの格好で見たこともない男の人だったけれど、なぜかちっとも怖くなんてなかった。
そっと片膝をついて私に合わせた瞳は優しくて…そしてとても綺麗な紫色。
「泣いてたの?」
「…おばあちゃんがいなくなっちゃったの」
「寂しいね」
「…ひとりぼっちになっちゃう」
両親は健在なのに、祖母の家に預けられていた私。
ずっと大好きなおばあちゃんと一緒にいられるんだと小さな私は思っていた。
泣いていた私の頬を拭ってくれた、涙のせいか少しひんやりとした優しい指の感触を今でも覚えている。
「大丈夫、僕が居るよ」
「いっしょにいてくれるの?」
「ごめんね…一緒には居られないんだ」
「そうなんだ…」
「でも君のことはずっと見守っているからね」
「ほんとう?」
「彼女に…、…君のおばあちゃんに頼まれたからね」
「おばあちゃんのおともだちなの?」
「…そう、僕も大好きだったんだ」
少し哀しそうに私の頭を撫でたその人は、瞳の色と同じ紫の石がついたネックレスを首にかけてくれた。
「大切に持っていてね」
「うん」
「…じゃあそろそろ行かないと」
「…また会える?」
「君が大人になったら、きっとね」
立ち上がって背中を向けようとしたその人にあわてて声をかけた。
「あなたのなまえは?」
「…ルイ。 じゃあまたね」
その時吹いた強い風に思わずぎゅっと目を閉じて…次に開けた時にはもうその姿は消えていた。
大好きなおばあちゃんがいなくなった日。
月がとても綺麗な夜のことだった。
あれから15年。
再び目の前に現れたルイは、あの夜と何も変わらぬ姿でそこに立っていた。
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続きま…せん。
ごめんなさい。
なかなか新しいお話も更新出来ていないのに、
お気に入りにして下さる方もいて…本当にどうもありがとうございます。
お話を書き始めた頃にちょろっと考えたお話。挫折したものです。
目の前に現れたのはおばあちゃんの若い頃の恋人だったヒトではないなにか。
もしお話が続いたとしたら「私」のお相手は別の誰かになったはずでした。完全にファンタジーですね。
ということで。
おそらく次に上げられそうなのは s.u氏 のお話だと思います。
それでは、また。
できるだけ近いうちに。
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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…!ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました! (2020年6月7日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは!お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください!猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます! (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょる | 作成日時:2020年3月1日 21時