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２人でやるには結構な量の花火を砂浜に広げる。
「どうしたのコレ」
「夏に姪っ子たちとやろうと思ってたんだけど、
こっち来てる間雨ばっかりだったんだよね〜」
「湿気てんじゃないの」
「大丈夫大丈夫」
ロウソクを砂浜に立てて準備、はいいんだけど。
Aちゃんが持ってきたのアロマキャンドルだよね。
本人はどっかで貰ったやつだからわかんないってさ。
ほんと適当だなあ…。
「ってか、酔っ払ってる？」
「ちょこーっと、ね」
「やっぱり…」
「北人も一杯だけ付き合ってね」
そう言って、花火を入れてきた袋から取り出した缶ビール。
プルタブを開けて一本を俺に寄越す。
「はい、北人が乾杯の音頭をどうぞ」
「…では、Aちゃんの新しい門出に…」
乾杯、と缶を合わせて一口飲むと、まだ慣れない苦み。
やっと成人したからAちゃんと飲みに行ったりしてみたかったな。
そんな小さな願いも叶えてくれないまま、明日Aちゃんはいなくなる。
午前中の早い便で遠い国に旅立ってしまう。
昔から向こうで仕事をしたいっていうのがAちゃんの夢だったもんね。
好きだから、行ってほしくない。
でも好きだから…「頑張れ」って送り出してあげたい…ちょっと強がりかな。
始めはコレだ、とAちゃんが手に取ったのは線香花火。
「普通は最後じゃない？」
「いやよ、辛気臭い」
「情緒がないなぁ」
「こんな寒いのに情緒なんてあるわけない！」
「寒さ関係ある？」
大体そんな寒い夜に呼び出したのはAちゃんのくせに。
でもさ…最後の夜を過ごすのに俺を選んでくれて嬉しかったんだよ。
Aちゃんの理屈に沿って線香花火から始める。
たしかに最後しんみりしちゃったら、俺泣いちゃうかも…。
そんなことを考えながら横を見れば、線香花火を束にして大きい火の玉が出来たなんてやってるし。
たくさんあるから、次から次と手持ち花火に火をつけては２人だけの砂浜ではしゃいだ。
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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…！ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました！ (2020年6月7日 21時) (
レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは！お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください！猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます！ (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょる | 作成日時：2020年3月1日 21時
