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ふと時計に目をやれば、もう11時を過ぎていた。
「なんか食べる?」
「あ、メシ炊くの忘れてた」
「冷凍のは?」
訊きながら冷凍庫を開けると、ラップに包まれたご飯。
冷蔵庫も確認してー…うん。
「チャーハンでいいよね?」
「……んー」
材料を用意しつつ確認すればなぜだかちょっと曖昧な返事。
「だめ?」
「だめっつーか、なんかおまえ作るやつ水気が多いんだよな」
「えー、そうかな」
失礼な…まあ、否定はできない。
料理だけは彰吾よりもちょっと自信あったんですけれども。
「いいよ、俺作る」
「お、シェフのご登場か」
「Aは助手な」
結局いつも通り、一緒に準備をするこの時間はけっこう好き。
隣で卵を割っている彰吾を見ながらふと思う。
身につけるものもおしゃれだし、頭の回転だって速いと思うし。
真面目にお仕事して、一通りの家事もこなせて。
家族や友達や身の回りの人たち…もちろん私のことも大切にしてくれて。
何でも出来ちゃう恋人に、そうでもない自分は時々少し不安を感じちゃう。
なんて考えてたらほら…この人はすぐ気付くんだ。
「どした…変な顔して」
「ん〜?…彰吾っていい男だな〜と思って」
そう言えば、にやりと笑って。
「じゃあそんな男と付き合ってるおまえは幸せもんだな」
「えー…まあ、そう、ね」
「ってことはもうさ、一生幸せもん決定じゃん」
良かったな、なんて。
卵を混ぜながら、こっちも見ずにあまりにもさらっと言ったけど。
それってこれからずっと隣にいてもいいってことでしょう?
確かな幸せを感じながら、長ねぎを刻む。
こんな日々を積み重ねていけますようにと願う、休日のひととき。
end
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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…!ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました! (2020年6月7日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは!お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください!猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます! (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょる | 作成日時:2020年3月1日 21時