Fischer's 短編 2。 (ページ11)

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｜(兄クロード) ページ11

そろーっとさっきより慎重に侵入する。
ドキドキ心臓が高鳴る。

『それでは、侵入したいと思います…。
生きて帰れる事を祈って。』

とカメラの前で祈祷する。

兄クロードの方を確認すると、やはりなんの反応もなし。

先程の寝返りはほんとに心臓に悪かった。
ふぅー、と息を吐き出して徐々に徐々に近付く。

そうこうしていると兄クロードが寝ている布団の真横まで来た。

今、どんな体勢で寝ているのか確認する為にまず顔を見てみる。

中々、見えずに布団の前でキョロキョロしていると動きすぎて思わずバランスを崩して

兄クロードの布団に倒れそうになる。

が、片腕で空いてるスペースに手を置きなんとか
難を逃れる。

危ない…、いつもと同じパターンになる所だった。

片腕を付いたお陰でさっきより距離が近付いて顔を探しやすくなった。

よく目を凝らすと、片腕を付いてる真横に
兄クロードの顔があるのに気付いた。

Aは一気に冷や汗をかく。

ま、まさかこんなに近くに…不幸か幸か。

とりあえず、落ち着かなくては。

一気に高鳴った鼓動を抑えて息を整えて
落ち着かせる。

少し落ち着くとこんな事を思い始めた。

これってまるでお兄さんに床ドンしてるのでは…？

起きてる時じゃ絶対叶わない技を仕掛けていることに少し笑ってしまう。

普段だったら逆の立場だし。

誇らしげに兄クロードを見下ろしながら

『参ったか。』

と呟く。

すると兄クロードが目を開けて、
Aを見上げる。

目が合った瞬間、心臓が大きく脈を打つ。

あ…、とAが言葉を発する前に兄クロードが彼女の腕を引き込んで押し倒す。

Aが一瞬の出来事で呆気に取られる。

一気に立場が変わり、今度は兄クロードの顔を
Aが見上げる。

「誰が、参ったって？」