Fischer's 短編。

｜(モトキ 続き) ページ45

次のお宅はモトキ。



「で、あんな所で何してたの？
公園のベンチでみかんだなんて」


『それは･･･、ぺけくん家に訪問していて
みかんを貰ったんです。』

それであんな所で食べてたの、と笑う。



「他のメンバーも遊びに行ってたの？」


『いえ、私だけです！
渡すものがあって訪問してたんです。

それで、モトキくんにも渡したいものがあるんですけど･･･。』



さっきからずっと渡しそびれていた
小さい箱をモトキくんに渡す。

「え、なにこれ？」


『今日は何の日か分かりますか？』


「･････････バレンタイン。
あ！チョコー？」


『そうです！
日頃の感謝を込めてお渡ししたいな。と
思いまして。』

ありがとう、と嬉しそうに笑うモトキ。
いえいえ。とAも微笑む。


「そうだ、俺もAにあげたいものが。」



何ですか？と不思議そうな顔をするA。
えっとねー、と言って台所の方でごそごそ
するモトキ。


「じゃーーん！」

『おぉ！これは･･･！』


モトキが嬉しそうに持ってきたのは、
新作のグミ。

最近、CMでウワサになっているものだ。


『さすが、モトキくんですね。』

「美味しいグミには目がないからねー。
一緒に食べよー？」



食べたいです、と目をキラキラ輝かせる。
モトキがピリピリとチャックの部分を切って
封を開ける。


「はい、じゃあ･･･あーんして。」



Aがモトキの言葉に固まる。
さっきまで忘れかけていたシルクの事を思い出してしまう。


『あーん、と言いますと･･･？』

「ご存知ない？
じゃあ、実践してみようか･･･まずAが
口を開k･･･」


モトキの言葉を遮るようにAが分かってます！と主張する。


「だったら、簡単じゃん。
ほら、口開けて？」


『ちょ、ちょっと待ってください！
どうして私があーん、されるんですか？』


「それは、Aが俺に嘘ついてるから、
罰として。」


Aが少しその言葉にビクッと反応する。



「ぺけたんと何かあった？」

さらに、Aがビクッと反応する。

どうして、ンダホくんといい
モトキくんといいこんなに洞察力に優れているのか。


『何も･･･無いですよ。』

「･･････嘘ついた。
だって、ぺけたんがあんな素で普通、
みかん持って帰らせる？

おかしいでしょ。」


グーの音も出せないでいるとさらに、続ける。

「おおかた、なんかされて恥ずかしくなって逃げて出てきたんでしょ？」

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