あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ49)

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病室を出てすぐに近くの椅子に座って

恥ずかしさを紛らわすように

頭を掻きむしった。

風磨｢あーっ……らしくねぇことしたなぁ…｣

いきなりほっぺたにキスとか

何してんだよ……

あー、はっず。笑

まだ冷めない顔に手を当てて

必死に冷まそうとするが、

余計な抵抗をすればするほど

さらに熱くなっていく。

…俺、こんなにAのこと

好きだったっけ…？

ふと、キスしたいって

そう思ったんだ。

ほんとはもっと触れたかったなぁ、

なんて…

風磨｢あーもう、気持ち悪ぃんだよ!!

バカ!! アホ!! スケベ!!｣

何これ、俺じゃないみたい。

(人1)に対しての感情とは

また違った感情が

俺を侵食していく。

風磨｢……っ//｣

この時間だから、廊下には誰もいないし

誰も自分の事なんか見ていないというのに

なぜか自分の顔を手で覆った。

これ以上ここにいると

頭がおかしくなりそうだから、

ひとまず家に帰ることにした。

この選択が

後に君を深く傷つけることになるだなんて

この時は考えもしなかった。

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ただの疲労というだけあって、

次の日にはもう退院できた。

しかし、ここは

なんて窮屈なところなんだろうと

帰る準備をしながらふと思う。

まぁ、１日で退院できたからよかったけど

もう二度とこんなとこ来たくない。

そう思った。

『よし、帰るか』

そう言って荷物を持った時、

『…？』

床にネックレスが落ちていた。

『これって…』

いつも風磨が付けてるネックレスに

そっくり……

いや、もはや本人の物だろう。

そう確信したとき、

昨日の出来事がふと頭をよぎった。

－とりあえず、今日はゆっくり休め。

『…っ//』

き、き、キスされたんだ…

え、待って、夢じゃないよね!?

昨日のことを思い出して

かぁっと顔が熱くなり、

そっと風磨の唇が触れた頬に

指先で触れてみる。

『…』

昨日、風磨の唇がここに触れて、

それを今私が指先で触れてて…って、

『何考えてんのよ!!

バカ!! アホ!! スケベ!!』

あー、もうっ！

と頭を掻きむしり、

ネックレスを乱雑にポケットにしまって

すぐに病室を出た。