あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ43)

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風磨｢……もう、どうすりゃいいんだよ…｣

なぁ、(人2)。

もしお前がこんなこと知ったら、

お前は(人1)のこと嫌いになる？

それとも中島を嫌いになる？

きっと、お前のことだから、

二人のことを嫌いになりたいのに、

嫌いになれない。

なんて言いながら泣くんだろうな。

君と中島がキスしてるとこ見て

無性にイラついて、

大好きな(人1)に八つ当たりして、

中途半端な俺の気持ちを急かすように

中島が突然邪魔してきて、

今、唯一の頼みの綱である君が、

俺のことを好きだと言った。

ねぇ、俺は君のところへ行っていいの？

答えられないのに

助けに行くだなんて、

変に期待させるようなことをすれば、

傷つくのは君自身だ。

どんなに好きだと言われても、

どんなに目の前で泣かれても、

今の俺には

君の気持ちに応える資格はない。

なのに、

風磨｢……っ｣

やっぱり君を放っておけなかった。

……なんて綺麗事だよな。

(人1)の所に行って中島と戦うことから逃げた。

そう言った方が、今の俺には

相応しいだろう。

汚くてもいい。ずるくてもいい。

お願いだから、俺に逃げ場を与えてくれ。

その思いで、再び神社へと

走って行った。

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神社につくと、既に人集りができていた。

風磨｢すいません、｣

たくさんの人をかき分けて

君の元へと向かう。

風磨｢…｣

そこに倒れている君を見て、

さっきの電話は夢でも幻想でもなく

紛れもない現実だったんだと、

今更背筋が凍る。

風磨｢……なんでだよ…。

お前、さっきまで元気だったじゃん。

…俺が帰った後、

なんですぐ帰んなかったんだよ。

こんなになるくらい辛かったなら、

言わないでいてくれた方が

ずっとよかったよ……｣

倒れている君のそばに行き、

込み上げてきた涙が

君の頬へと落ちて行った。

すると、君はそのすぐ後に来た救急車に

乗せられ、俺も救急車に乗った。

なぜだろう。

さっきの一件があったからだろうか。

どこか遠くに行ってしまいそうな気がして、

もう誰も手放したくなくて、

ずっと君の手を握り締めていた。