あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ25)

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先生｢おい、ちゃんと並べ！｣

気がつけば、もうすぐ夏休み。

高２の夏は一番楽しいだなんて言うけど、

風磨｢なにそれ、ウケんだけど笑｣

あいつの顔をしばらく見なくて済むんだと

思うと、嬉しい気持ちと寂しい気持ちで

いっぱいになる。

どーせ、あいつは(人1)と二人で

海でも行くんだろうなー。

はっ、青春かよ(´･∀･`)笑

笑わせんな。

そんな金にもならないことしたって

時間の無駄。

そんな時間あるならバイトした方が

ずっといい。

『はぁ……』

なんて思いながらも、

実際青い春とやらが

羨ましかったりもする。

彼氏いないし、

今年の夏も地元の奴らと

集まって団地のベンチとかに

たむろして終わんのかなー。

なんて虚しい夏なのだろう。

終業式が終わってから教室に戻り、

そのまま帰ろうと思って下駄箱で

靴を履き替えていると、

｢A！｣

後ろの方から声がした。

振り返ってみると、

『……なんだ、中島か』

健人｢うわ、何それ、冷たっ!!

もちかちて、今日はご機嫌斜めの日

なんでちゅか～？｣

こいつ…

あたしのことからかいやがって…!!

『…で、要件は何』

健人｢あのね、明日学校の近くの神社で

祭りがあって、『ごめん』

『…あたし、そういうの好きじゃないから』

そう言って再び歩き出すと、

健人｢菊池も来るみたいだよー！｣

大きな声で私に向かって言った。

幸い、近くに誰もいなかったから

よかったけど、もし(人1)に

聞かれたりしたら……

そう考えるだけで頭が真っ白になる。

健人｢やっぱり｣

『は？』

"何言ってんの？"って言い返そうと

中島の方に振り返ったとき、

左腕をぐっと引かれて、

『……っ！？！？』

目の前にある中島の顔と

柔らかい何かが唇に触れている感触。

少し時間が経ってから、やっと

理解できた。

あたし、今、中島とキスしてるんだ

って。