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そして、再び受け取った合図と
共に走り出すと、視界が少し
霞み始めた。
運良くバトンも
ちゃんと受け取ることができ、
私は目の前にいた
他クラスの走者を抜いた。
その時に聞こえた大きな歓声と、
バトンを渡す相手が
彼だと知った嬉しさで、
私はさらにスピードをあげた。
だが、
「…(人2)さん!?
どうしたの!?大丈夫!?」
バトンを渡し終えた瞬間に、
私はその場に倒れ込んだ。
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『ん…』
目が覚めると、
私はなぜか保健室のベッドにいた。
「目、覚めた?」
『…先生?』
声のする方を見ると、
私の大好きな元担任の先生がいた。
『あたし、なんでここに…?』
「過呼吸で倒れたんだよ」
『…ごめんなさい、迷惑かけて』
「あんな無茶するからだよ。
無理なら無理って
はっきり言えばよかったのに」
『だって…
できると思ったんだもん…』
「あとで菊池くんにちゃんと
お礼言うんだよ?」
『どうして?』
「だって、菊池くんがここまで
おんぶして運んで来てくれたんだよ?」
それを聞いて、
意識を失っていたことを
心から後悔した。
『なんであんなやつが…』
「そんなの知らないよ。笑
でも、まだ自分も走ったばっかで
疲れてるのに、
(人2)さんが倒れたって
大騒ぎになった途端に
菊池くんが(人2)さんを
おぶってここまで
連れてきてくれたんだよ?」
『…ったく、余計なことすんなっつーの』
「菊池くんって
優しい人なんだね」
そう言った先生は、
まるで私の心を
見透かしているかのようだった。
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xLuvx(プロフ) - 続き待ってます!更新頑張ってください!! (2015年6月7日 11時) (レス) id: aebc61ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫月華恋 | 作成日時:2014年12月9日 16時