あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ35)

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あぁ…私、振られたんだ……。

少女漫画の読みすぎかな…。

てっきり上手くいくかと思ってた…。

どんなに泣いても、

彼はもう戻ってこない。

彼の"ごめん"は、ただの"ごめん"じゃなくて、

まるで"さよなら"を

意味しているかのようにも思えた。

ねぇ、風磨。

あたし、今泣いてるよ。

もう一度腕を掴んで、

優しく抱きしめてよ。

(人1)のことなんかより、

私のことを見てよ。

私だけを見てよ。

もう終わりかも

だなんて言うけど、

(人1)から別れを告げられるまで

別れないつもり？

風磨は何も悪くないじゃん。

(人1)がただ嫉妬深いだけじゃん。

(人1)に振り回されて楽しいの？

あたしなら絶対そんなことしないのに。

『……風磨…っ』

その場にしゃがみこんで

大粒の涙をこぼした。

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健人side

菊池のことを追いかけたまま、

Aは帰ってこない。

もしかしたら、Aは

菊池と上手くいってしまったんだろうか。

そう思うだけでモヤモヤする。

相手が菊池だってことに

余計に腹が立つ。

健人｢あっ……｣

そんな時、一人で神社から出た

菊池の姿が視界に写った。

俺はすぐに追いかけて、菊池を呼び止めた。

健人｢おい！｣

風磨｢あ？

……なんだ、お前か｣

健人｢Aと会わなかったか？｣

風磨｢……会ってねぇけど｣

返事をするまでに妙に空いた間が

なんとなく気になった。

健人｢本当に会ってねぇの？｣

風磨｢じゃあ、会ったって言ったら

どうすんの？

プレイボーイのお前なら、

それより先のことくらい想像つくよな？｣

鼻で笑いながら言ったこいつが

どうしても気に入らなかった。

こんな奴を好きになるAの気持ちが

俺には理解できない。