氷の人魚姫《6》

ep.119 不服ビジット！ ページ19

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「こんにちは。お邪魔します」


「なっ！お前達は！！」




と、言うわけで、私達は翌日スカラビアにやって来た




「昨日俺達を
ボコボコにしたオクタヴィネルの奴ら！」


「何の用だ！」


「まだやる気なのか！！」


「あぁ皆さん、昨晩は失礼しました。
皆さんがか弱い動物を一方的に虐めている様に
見えたものですから
心優しい僕は咄嗟に庇ってしまったんです」




アズールは昨日の三人を丸め込む。

私からすれば、こんな胡散臭い話信じるわけないが…




「それは、どうも……」

「助かりました…」

「ご協力ありがとうございます…？」




まったく、熟慮の精神が聞いて呆れる


なんだなんだ。

いつからスカラビアはカリム先輩に倣って
大富豪の楽観の精神に基づく寮になったんだ？

…なーんてふざけてると




「おいお前達、そろそろ朝の特訓の時間だぞ。
集合に遅れるとまたカリムに……っ！？」




少なくとも、熟慮の精神を
しっかりと受け継いでいるらしい奴が一人…

黒い長髪に黒い瞳。…なるほど彼が




「おや、ジャミルさん！
こんにちは。ご機嫌いかがです？」




ジャミル・バイパー




「アズール・アーシェングロット、
それにリーチ兄弟。
あと君は…特待生のグレース・モルグアーナ

…一体なぜここに？」


「カリムさんはどこにいらっしゃいますか？
魔法の絨毯をお届けにあがったのですが」


「えっ？あ、ああ。届け物なら俺が預かろう」




あちゃぁ、後手に回ったなあジャミル先輩。

アズールを誰だと思ってるの

貴方の目の前にいるのは
狙った獲物は絶対に逃さない、強欲守銭奴商人よ？

そんな弱腰でアズールを撒けるわけない

自分を弱く見せるのは戦術の基本だけど
これは訳が違う




「だから今日は都合が悪いと
……勝手に入っていくな！アズール！！」


「さ、監督生さんも参りましょう」


「遅れないで付いてきてねぇ」


「お邪魔しまーす。さ、行こうユウ」




ふふっ、可哀想に。

私達をこの寮に入れたこと、せいぜい後悔するのね




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