ep.52 狂犬バイツ！ ページ9
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グレース・モルグアーナという奴がいる。
最初の印象は一年坊のくせに入学一週間で
俺のサボりの特等席で堂々と昼寝してやがった太ぇ奴
腕章を見ればあのオクタヴィネル寮所属、
しかもアズールとは幼馴染と来た。
物腰は穏やかにしているのに
何処か人を小馬鹿にした物言いをし、
優しい体を装っているのに時たま毒を吐く。
本性を隠す気があるのか無いのかわならない
それこそ大海原を揺蕩っているような飄々とした奴だ
そんなグレースは、結構な頻度で
俺の隣で授業をサボっている。
奴曰く、留年しない程度の計画的サボり。らしい
奴は毎度毎度、
呆れる程の量の本を図書館から持ってくる。
それを俺の隣でペラペラとめくりながら
1日の大半を過ごしているのだ。
それは今日も同じことだ。
「おはようございます。レオナ先輩」
「帰れ」
「相変わらず冷たいですね。よっこいしょ」
「座ってんじゃねえよ。帰れっつってんだろ」
「レオナ先輩の“帰れ”は最早通例ですので。
それに帰れと言われて帰るコオリウオはいません」
矢張りコイツは厄介だ。
俺の言葉をぬらりくらりとかわし、
容易に懐に入り込む。
この俺がこれだけ側に居られて
本性の一つも見られないなんて初めてだ。
「最近、あのタコ野郎と
よろしくやってるみてぇじゃねえか」
「やっぱり先輩の耳にも入りました？
ふふっ、アズールといると
面白いことが絶えなくて本当に退屈しない」
「あの野郎と進んでツルもうなんざお前も相当だな」
「僕は今、最高の学園生活を謳歌してます」
「何よりなこった」
グレースは一度も目を合わさず俺と会話をした。
……いつ見ても
グレースの読書風景というのは馬鹿げていて
常人からしたらそれは最早読書では無い。
速読、か…。しかしここまで来ると
これは瞬間記憶に近い。
それほどのペースで本のページがめくられている。
ったく、アズールの野郎は
どこでこんなのを引き入れたんだ？
こんなのを手元に置いてアゴで使うなんざ
常人ならまず、飼い犬に手を噛まれるどころか
確実に頸を喰い千切られる。
…あの双子といいグレースといい、
アズールは本当に厄介な奴らを従えている。
俺も面倒事は避けたいのだが＿＿＿＿
「あ、レオナ先輩。そこの本取ってください」
「今すぐ俺の前から姿を消したら取ってやるよ」
「今日は一段と帰れコールが熱いですね」
生憎この状態だ。
．
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神崎(プロフ) - 桜澤さん» コメントありがとうございます！私も自分で書きながらグレースちゃんが心配です…！どうか最後まで彼らを見守ってあげてください！ (2020年12月27日 9時) (
レス) id: 57b89da2fa (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - (･ω･`;)=(;´･ω･)ｱﾀﾌﾀ グレースが心配っ……みんな仲良くなれればいいな……（願い (2020年12月27日 6時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 | 作成日時：2020年12月18日 23時
