氷の人魚姫《3》

ep.63 泡沫センチメンタル！ ページ25

．




＿＿＿＿＿＿＿ぐちゃぐちゃ、どろどろ、ぼろぼろ。
今の私の心はそんな言葉がお似合いだ。

私は何をしたいの？私は何をすべきなの？
そんな事を繰り返し意味もなく自問自答している

……唯一理解できるのは眼前の光景だけ

アズールがオーバーブロットした。
このままじゃアズールは魔力を使い切って死ぬ。

それだけ理解できた




「何やってんのよ……アズールも、私も」




アズールのオーバーブロットした姿を見て、
素直に口から侮蔑の言葉が出た。
それは紛れもない私の本心な筈だった

でも私の体はそれに反して
アズールの方へと歩みを進め、マジカルペンを握って
ユニーク魔法を発動させアズールを止めた。




「なんなんだこの氷は！！離せっ、離せよ！！」




オーバーブロットなんて稚魚のする事
自身のブロットの制御すら出来ない雑魚の成れの果て

そう言ったのは私自身じゃないか。
……なら、アズールはつまらない雑魚なのか？

ユウに負けたアズールは、黒星一つつけたアズールは
……オーバーブロットしたアズールは
ただのつまらない雑魚なのか？




“お、落ち着いた？”

“……”

“なんで急に泣き出したの”

“うるさい”




ああもう、本当に
忘れられないというのはこういう時不便でしかない

どんな昔の記憶でも、
私にはつい昨日のことの様に思えてしまう。




“名前”

“…え？”

“名前、なに”

“……アズール。アズール・アーシェングロット”




．

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す