氷の人魚姫《3》

ep.57 敵襲リターン！ ページ16

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次の日、契約最終日。

私はユウ達を迎えに行くために
元の姿に戻りアトランティカ記念博物館へ
ジェイドフロイドと向かっていた。




「てゆーか、一昨日も思ったけど
グレースって雄になったままで元に戻ると
こんな姿なんだね〜」


「元の姿だと尚更違和感がありますね」


「私結構気に入ってるよ？
なんか雌の時より早く泳げてる気がするし！」




そう、今の私はマーメイドではなくマーマンなのだ




「貴方は雌のままでも十分早いでしょう」


「そうそう！俺達と同じスピードで泳げてるし」




大きなウツボの人魚二人に挟まれながら、
私は真っ白な尾ヒレを動かした




「今日が契約終了日、最後の最後まで楽しみだよ！」


「グレースって、
ホントに小エビちゃんに期待してるよね〜。
正直何がおもしれーのかわかんねぇ」


「丸腰でアズールと契約する度胸は認めますが
…正直僕にも、自分と相手の技量の差もわからずに
戦いを挑む無謀な小魚にしか見えません。

何故そこまで彼に目を掛けるのですか？」




ジェイドとフロイドは
まだユウの魅力に気付いてないみたい。

まあそれもそうか、
彼の最大の魅力は有事の時にこそ現れる




「確かにユウは魔法も使えなければ
よく回る抜きん出た頭脳を持ってるわけでもない
能力だけ見れば非力で無能なただの雑魚。

でもね、ユウは私と出会ってその日に
私の“皮”の片鱗に気づいたんだよ」


「あの小エビちゃんが？」


「ほう。それは面白い」


「彼の直感と発想力には私も毎度驚かされてる。
それに何より、ユウはいつだって
予定調和を乱すトラブルメーカーなんだもん」





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