ただ家族と一緒にいたいだけ【約ネバ】 (ページ1)

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GFハウスページ1

ぴったり６時

施設(ハウス)の朝は鐘の音で始まる。

エマ「みんな起きてー、朝ごはん遅れるよー。」

今日も今日とて、私はエマの声で目が覚めた。

“ エマ、くつはけなーい。”

“ ひもむすべなーい。”

小さい兄弟に助けを求められ、エマはそっちに向かう。

一方私は一足先に、食堂へと向かう。

施設(こ)の暮らしも10年。

気づけば私は最年長になっていた。

トーマ「鬼さんこちらー♪」

ラニオン「手の鳴る方へー♫」

エマ「お前達……食ってやるー！」

『おわｯ3人とも、危ないよー？』

エマ達よりも早く部屋を出たはずなのに

廊下を走ってきたからか、抜かされてしまった。

これも日常茶飯事な事だが＿＿

『やっぱり騒がしすぎやしないか？』

兄弟が38人もいる施設(ハウス)では

やはり、どうしても朝から騒がしくなってしまう。

そんなこんなで、食堂に着いた。

エマ「ほっはよー！ノーマン、レイ。」

ノーマン「おはよう、エマ。」

レイ「“ ほはよー”、エマ。」

エマ「！！」

ノーマン「元気だねぇ、まだ朝ごはん前なのに。」

レイ「お前、歳いくつだ？5歳？」

エマ「2人と同じ11歳！！」

『ﾌﾌｯエマ。廊下ではドンやコニー、食堂ではノーマンとレイに挨拶をするのに。一緒の部屋で寝ている私には、挨拶してくれないの？』

仲間外れにされている気がして、後ろから話しかけた。

エマ「A！」

『悲しいなぁ、私。』

エマ「ご、ごめん。Aもおはよう！」

『A“ も”？』

エマ「え、えっと……」

ﾊﾞｼｯ

エマで遊んでいたら、レイに頭を叩かれた。

『いったーい。何するのさ、レイ。』

レイ「キモいお芝居してんじゃねーよ。朝っぱらから。」

『えー、良いじゃない。エマは朝から廊下で鬼ごっこしてたよ？』

レイ「そーゆー事言ってんじゃねーよ。」

エマ「え、A今のお芝居だったの！？」

ママ「ｸｽｯほらほら。エマとAはこっち手伝って。」

『はーい。』

性格も、年齢も、肌の色も様々で

血の繋がりはないけれど

大切な家族

大好きなママ

大好きなみんな

施設(ハウス)は私の“ 家”だった。

全て私の、私達の普通＿＿

ママ「時間通りね。」

“ いただきます。”

10年間疑ったことすらなかった。

当たり前の日常。