【短編集】歌い手×花×365日 (ページ2)

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そらる×スイセン×1月2日ページ2

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「さむっ…」

冬のさなか、なんで私は一人で外にいるんだったっけ

数分前から降り出した雨はちょっとずつ雪に変わって

ただでさえ冷たい指先をさらに冷たく凍えさせる

話は1時間前にさかのぼる

私は同棲してる彼氏そらるのリクエストである生姜焼きをつくるために

近くのスーパーまで買い物に行っていたとこだった

帰ったら生姜焼き作って、一緒に食べて…そのはずだった

でも見てしまった

そらるが、知らない女性と仲良さげに話しながらショッピングをしてる姿を

見てしまった瞬間、心にぽっかり穴があいた

居ても立ってもいられなくなり、何も考えず歩いて付いた先は告白された公園だった

「なんで今日だったのかなぁ」

それというのも今日はそらるがこの公園で私に告白してくれた日

「そらるのばか…」

「…帰りが遅いと思ったらこんなとこにいたんだ」

突然、彼の声が聞こえた

「何しに来たの、浮気する人の顔なんて見たくない」

はぁ？という声が背後から聞こえたが構うわけない

ショックが大きくぼろぼろと涙が零れ落ちる

うしろでそらるが大きなため息をつくのが分かった

「A、こっち向いて…」

「やだ」

すると、彼は私の前まで回り込んできた

「勘違いさせてごめん、あれは浮気なんかじゃないよ」

「嘘つかないで」

「嘘じゃない、あれは妹」

お願い、信じて…弱々しくいう彼は今までになく真剣だった

「こんな形にするつもりじゃなかったんだけど…Aこれ、見て、お願い」

最後だから、最後にするんだと決意して顔を上げると

そらるの赤くかじかんだ手の中にキラッと光るリングがあった

「…どういうこと？」

「今日、俺がAに告白した日だけど、上書きさせてください

　 A、俺と結婚してくください。絶対幸せにします」

私はそらるをぐいっと引き寄せて、その胸に顔をうずめた

「えっ…？」

「嘘じゃない？」

「もちろん」

「本当の本当？」

「うん…」

「…お願いします」

「約束する」

いつの間にか雪はやんだ

花壇には、4年前の今日と同じく黄色の水仙が揺れていた

そらるのお願いと同じ優しさで

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黄色の水仙花言葉「私のもとへ帰って」