暁月夜 (ページ7)

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現時刻11:15。

春との待ち合わせの時間は11:30。

やばい。

重岡『送ってやろか？』

「え？」

ドアに寄りかかって、私を見つめる彼。

なんでだろう、不意にかっこいいなんて思ってしまった。

「え、でも悪い…。」

重岡『俺は平気やで。
ほら、はよ荷物持ってき。』

ニコッと笑い、断りずらくする彼。

…女の子の扱い慣れてんな。

ま、顔は普通にいいし、女の子ほっとかないんだろうな。

そんなことを思いながら、荷物を取りに行く。

「ごめんね、お願いします。」

助手席に乗り込む。

重岡『おん。
ってか、さっきも言おうと思ってたんやけど、『ごめんね』より『ありがとう』の方が嬉しい。』

こっちを見ずに淡々と言う。

「…ありがとう。」

重岡『ん。』

なんだか少し気恥しくなって、私は窓に視線を向けた。

「あ、ここでいいよ！」

重岡『おん。』

無事に時間に余裕を持って待ち合わせ場所に着くことが出来た。

「あ、重岡！
ちょっと待ってて！」

助手席を降りて、近くのコンビニへと走る。

ホルダーにコーヒー置いてあったな。

コーヒー買って行こう。

コンコン

窓を叩き、助手席を開ける。

「はい！
これ、車出してくれたお礼！」

重岡『え、いや悪いわ！
勝手にこっちが車出しただけやし。』

「それでも、助かったし、受け取ってもらわないと私の気が済まないの！」

無理矢理、助手席にコーヒーを置く。

すると私の腕を掴んで、

チュッ

キスをした。

重岡『そこまで言うなら、貰っとく。
じゃな。』

あの甘い笑顔を残して彼は去っていった。

いや、ちょっとあれはずるすぎないですか？

春『あ、やっときた！』

重岡のせいで立ちすくんでしまい、結局待ち合わせの時間ギリギリになってしまった。

「ごめんごめん！」

春『LINEでもうすぐ着く！って言うから待ってたのに、全然来ないんだもん、びっくりしたよー。』

それに…と付け加える。

春『重岡くんに送ってもらってたでしょ？』

「え！？」

春『さっきの車からAが降りてくるのたまたま見ちゃって、運転誰かなって思って見たら、重岡くんだった気がしたけど、Aの反応見たら正解だったみたいだね。』

「うっ…。」

しっかり見られてたのか。

春『まぁ、この話はすごい気になるけど、お昼食べながら聞こうかな！』

そう言って私たちは歩き出した。

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