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A「…裕翔？」
裕翔「ん？」
A「してくれないの？」
裕翔「えー、なに。
恥ずかしいじゃん、こんなとこで。」
何が？
今まで、
何度してきたと思ってるの？
どうしたって納得がいかない。
私は裕翔の腕を引っ張り続ける。
裕翔は無視し続けていたけど、
堪忍したように私に顔を近付ける。
何、その顔。
面倒臭そうな、その顔。
触れたのは、本当に一瞬だった。
裕翔は私から離れると、
もう私の方なんて見ない。
裕翔とキスした後の、
甘い顔が好きだった。
もっとしたい、って顔が好きだった。
笑う顔が好きだった。
だから私もキスした後、
笑うのが癖になってた。
ねえ、その顔は？
違うよ、裕翔。
裕翔「……A、」
裕翔が私を見る。
そんな困った顔、しないで。
そんなことされたら当たり前に
私は泣いてしまうのに。
それが、裕翔なら分かるはずなのに。
それでも、そう、してしまうほど、
私は困る？
私に困ってる？
…なんで。
だって好きだ、って言ったのは裕翔なのに。
だから私だって。
私だって、
好きになろうとして、
裕翔を好きでい続けたのに。
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作者名：環
| 作成日時：2018年5月14日 13時
