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裕翔「……ん、じゃ、土曜日。」
A「……………うん。あ、仕事中にごめんね。」
裕翔「や、全然。電話ありがと。じゃーね。」
A「うん、ばいばい。」
前なら、
このまま30分近く話していたのに？
いや、仕事中だから仕方ない。
じゃ、土曜日って？
今日はまだ火曜なのに。
もう土曜日まで連絡しないってこと？
いや、こんな時間まで
残業してるんだから仕方ない。
疑問と不安が頭の中を回る。
それを必死に打ち消そうとする。
連絡先を探す。
表示される名前。
発信したい。
でも、手が動かない。
だって、ここで愚痴を聞いてもらって、
慰めてもらおうなんて傲慢すぎる。
少なくとも、私のことを好きだ、と言っていた男にするには、残酷すぎる。
だけど、不安で仕方なかった。
私は1人に戻るのが不安だった。
だって、もう2年も裕翔と一緒にいた。
1人じゃなかった。
今更1人になんて、
どうやって戻ればいいの。
見たい映画があるとき、
行きたい場所があるとき、
人肌寂しい夜を迎えたとき、
私はどうしていただろう。
答えは問いかけなくても知っていた。
そんなとき、
私は慧を使っていた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年5月14日 13時
