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不意を突かれて、はっとする。
目の前の小さな扉に行く手を阻まれていた。
斜め右下の画面には残額不足の文字。
(ああ、またか。)
大荷物を引き摺って、
周りにごめんなさい、と言いながら
改札から抜け出した。
精算機に向かうと、1人が機械を操作していて、
その後方に立ち、ぼんやり自分の番を待つ。
荷物を持ち替えて手を自分の息で温める。
車内の暖房で体は温まっていたけど、
手袋をしていない手はやたらと冷たかった。
チャージを終えたカードを押し付けて改札を出た。
2、3歩歩いて、
私はある人物の顔を捜す。
さっき着く時間を告げたから、
待っているはず。
いつだって、あの人は、そういう男だった。
慧「A、」
振り向くより早く私の手を取る。
慧は、私の荷物を手で持ちながら私の手を掴んだ。
A「寒い！今日なんでこんな寒いの？」
慧「もう12月だし。てか、おまえ荷物なんでこんな多いの？引越し屋に頼まなかったの？」
A「すぐ使いたいものとかあるじゃん。
お金なくてダンボール運ぶだけのプランにしたから、めちゃくちゃに詰めちゃったんだよね。」
慧「ふーん。じゃそのままにしとけば？どうせまたすぐ引っ越すんだし。」
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作者名：環
| 作成日時：2018年5月14日 13時
