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A「………馬鹿じゃないの…躓かないよ。」
慧「はは。
…そーゆーの、女の人は分かっちゃうんだろーねー。」
馬鹿げてる。
何なのこの展開。
夢だ、夢に決まってる。
こんな都合の良い展開、許される訳ない。
だって、もうずっと、信じられなかった。
慧が私を好きだ、って。
だから、他の人と結婚するって聞いて、
ああやっぱり勘違いだったんだ、って思った。
納得して、漸く忘れられるって。
諦めがつくって、思って。
ただの幼馴染みに戻って、
元の、きょうだいみたいな関係に。
元の？
きょうだい？
もう、全然きょうだいなんかじゃなかったのに。
ずっと、一人の男としてしか見れていないのに。
信じられなかった。
だけど、ずっと前からそうだった。
信じられなかった。
それを信じてしまって、
裏切られることが嫌だった。
信じられなかった。
だけど、信じなかったことを
私は今、こんなに悔やんでいる。
あの日。
慧の手を取っていたら。
そう思い当たる日が多過ぎて、
自分の愚かさに溜め息が出る。
そうだ。
慧を責めるのは間違っている。
信じられなくても、
慧に飛び込んでいく勇気がなかったくせに。
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年5月14日 13時
