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慧「てかA、なんかキレーになったんじゃね。」
A「…………さっきぶすだっつったじゃん。」
慧「だってーすげぇ泣いてんだもん。」
A「いいよ、そんなフォローしなくたって。」
慧「浴衣かわいいじゃん。買ったの？」
A「………うん。」
慧「髪もふわふわになった。」
A「………うん。」
慧「ピアス。開けたんだ、それ。
裕翔に貰ったやつでしょ？」
A「………………うん。」
慧「あいつピアスとイヤリング間違えて買ってんだもん、うける。」
A「………………………………うん。」
慧が私を褒める。
私が、裕翔に言って欲しかった言葉で。
なんで、
慧はこんなに変わらないんだろう。
なんで、
こんなに優しいんだろう。
そうだ。
この優しさを知っていたから、怖かった。
私はずっと、ずっと、怖かった。
何が？
男、になっていく慧が。
女、になっていく自分が。
どんどん慧が知らない男の人みたいになって、
どんどん私から離れていって、
どんどん私のことばかりだった慧じゃなくなって、
そんな慧に、寂しい、と思う自分が嫌だった。
だから、慧の代わりが必要だった。
代わりに好きと言ってくれる男が。
私が女になれる男が。
だけど。
だけどやっぱり、
代わりなんて無理だったんだ。
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作者名：環
| 作成日時：2018年5月14日 13時
