シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ8)

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＊

慧「Aー、」

A「なにー？」

慧「こっち、来て。」

言われるがまま、慧の隣に座る。

慧に抱きしめられる。

私はくすぐったい、と笑う。

慧はやたら真面目な顔をしていた。

本当に一瞬、
触れられたと分からない軽さで
唇と唇が触れた。

慧「俺、Aのこと好きだよ。」

A「私も、慧のこと好きだよ。」

慧はやたら真面目な顔をしていた。

私は、能天気に笑った。

その後、
慧も「そっか」と笑った。

＊

知っていた。

慧が何を望んでいるのか、

私がそれを受け入れるなら、
どういう反応を返せば良かったのか。

だけど、気付かない振りをした。

無邪気な子供みたいに、
何も分かってない振りをすればきっと、
慧は私にこれ以上何も求めないことを知っていた。

慧の気持ちなんて、考えずに。

だって、違う。

違うよ。

私だって慧が好きだった。

だけど、怖い、なんて。

そんなことを思ってしまうなんて。

嫌だった。

そんなのは、
そんな慧は、

嫌だったんだ。

だって、私は中学生で。

だけど、慧も中学生だった。