シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ47)

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思いっきり背伸びをする。

だって、この人は、慧より背が高い。

首がちょっと痛い。

そう思っていたら、体を支えられる。

腰に回る腕。

慧よりずっと、硬い腕。

だけど何故か
嫌だ、と思わなかった。

震えたりはしなかった。

心臓は早いけど、
お酒を飲んでいる裕翔君の方がもっと早かった。

そういえば、あの時は慧のそれまで気にしている余裕はなかった。

腕を裕翔君の肩に回す。

何度も繰り返すキス。

だけど、何度も、

あの時の、

慧とのキスが邪魔をする。

なんで私は慧とは駄目なんだろう。

他の人は大丈夫なのに。

他の男には触らせるのに。

なんで慧だと駄目なんだろう。

なんで慧は、
他の男に私を触らせるのだろう。

なんで慧は、
他の女を好きと言えるのだろう。

なんで慧は、
私から離れていこうとするのだろう。

なんで私は、
それを引き留めることができないのだろう。

本当はもう、分かっていた。

だけど、私には

それを認める勇気がなかった。