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日陰になっていた駐車場から出ると
車内は冷房が効いているにも関わらず、
ガラス越しに日差しを感じた。
ああ、もう夏だなと思う。
普段仕事中は会社の空調効きっ放しの中にいるせいで、季節感がない。
そうして、思い出す。
さっき駅で見たポスター。
A「そういや、今日、花火大会なんだね。」
慧「んー、あー、そうだったかも。
何、知らなかったわけ？それに合わせてくんだと思ってた。」
A「知らないよー。だってこっちにあんま友達いないもん。」
慧「うーわ。寂しい奴。」
A「うるさいよ。」
慧「まあA、俺と遊んでばっかだったもんなー。」
A「ほんとにねー、悪い男のせいで私の青春台無し。」
慧「んはは、ごめんねー良い男で。」
そう笑っている慧は吃驚するくらい
昔と変わっていない。
少しだけ濃くなったヒゲとか、骨ばっていく身体とか、大人になったとは思うけど、
相変わらず肌は男の人とは思えない綺麗さで、
中身は変わらずあのときのまま、優しくて。
優しくて、元に戻せるんじゃないか、なんて。
そんな不毛な事を思ってしまうくらい。
(馬鹿じゃないの、)
もう、10何年も前のこと。
慧「行く？」
A「え？」
慧「花火。毎年一緒に行ってたじゃん。」
A「……………」
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作者名：環
| 作成日時：2018年4月22日 12時
