シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ36)

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慧は高校の中でも成績が良いほうだったので
大学受験をして、名の知れた有名大学に入った。

私は、まあとりあえず、と
推薦で行ける範囲の大学に進んだ。

大学が違うとやっぱり会う機会は減って、バイトだのサークルだの研究室だのの活動時間が違うので、私達は殆ど会わなくなっていた。

元々、慧から私には殆ど連絡はこない。

私が慧に付き纏っていただけだ。

だけど、私が会いに行ったときに慧が見せる笑顔は何より本物で、

だから私は自分が追いかけているという感覚は全然なかった。

時々疲れたとき、
無性に慧に会いたくなった。

通学路を慧の家の前を通るコースに変えて、
照明がついているときは慧の部屋を訪ねた。

慧は変わらず、私を受け入れる。

だけど、ちょっとずつ、
何かが崩れているのを知っていた。

だけど、私はまた、

そこに蓋をし続けた。

＊

慧「あっれー、Aじゃん、どしたのー？」

玄関の扉が開いて、
慧がいつものように顔を出す。

だけど妙にテンションが高くて、顔が赤い。
やたら愛想がいい。

浮かぶ理由は一つだった。

A「…飲んでんの？」

慧「んー、今裕翔来てんの。」