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目を閉じれば浮かぶ慧の部屋。
いつも行っているあの部屋。
真っ暗なのは電気が消えているから。
カーテンも閉め切っているし。
目が慣れるとカーテンの隙間から日が覗く。
なんで？
カーテン、開けようよ。
だーめ、
あの夏の日に、
私にしたみたいに。
慧が、
女の人に触れる。
私に触れなかったところまで深く。
慧が、
あの人に触れる。
気持ち悪かった。
何してんの。
あんな、
あんなとこで。
私が寝転んだベッドで。
慧がいつも雑誌を読んでいるベッドで。
何してんの？
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
制服のまま布団に入る。
布団を頭から被って縮こまる。
目を思いっきり閉じる。
何にも見たくない。
考えたくない。
だけど、それを許してくれないみたいに
瞼の裏に慧が浮かんでくる。
あの日の、
唇の感触とか、
硬い体とか、
あの、初めて見るような顔が。
馬鹿みたいだ。
見たわけでもない。
ただの妄想、
なのにこんな。
だけど、慧の硬い体の感触が消えなくて、
もう、2年も前のことなのに。
鮮明に蘇ってきて、
消えてくれない。
私は思いきり自分の体を抱きしめた。
何してるの。
慧がそれをしたい相手は、
あの人じゃないでしょう？
嫌だ。
気持ち悪い。
怖い。
そんなこと私になんてしないで。
だけど、
他の子にはもっとしないで。
嫌だよ、そんな慧、嫌だ。
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作者名：環
| 作成日時：2018年4月22日 12時
