シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ27)

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「Aさー。伊野尾くんのこと人と話すとき「あいつ」とか呼んでるけど本人の前だと「慧」とかめっちゃ高い声で呼んじゃってんの。まじきもい。必死かよ！」

「伊野尾くんもさー。幼馴染みだからってあんな奴構わなくてもいいのに。」

「ねー。彼女が可哀想だよねー。」

「なんかあいつ、前「起きたら慧の部屋で寝ちゃってた(笑)」とか友達に送ってきたらしくて！
誰も聞いてねーっつーの。」

「あ、それ私も聞いた。」

「なんかその後付き合い始めたとか噂流れたよね。」

「でも伊野尾くん今あれでしょ、あの学年一の美女だもんね。」

「あんまりうぜーから一回ヤったとかじゃないの。」

「あーそれありそう。それで勘違い。」

「痛いあいつ！」

「あーでも私それでもいいー。」

「まじ？あんた本当、伊野尾くん好きだね。」

「うん。好き。」

「まあ確かに…そうだとしても羨ましいけどね。」

「まあね。」

「あーうざいけど羨ましいのは変わりないかー。」

「あ。次移動じゃん？早く行こ。」

「ちょ、待って。」

ばたばたと消えた足音。

閉じたままの個室の中で、
意味もなく水を一回流した。

何とでも言えばいい。

結局は羨ましいだけのくせに、

馬鹿じゃないの。