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怖い。
いつの間にか硬い体になってしまった慧が。
そんな慧を怖いと思ってしまう自分が。
何で。
私は慧が好きなんじゃなかったの。
違う。
確かに好きだった。
物心ついたときからずっと、
慧以外の男の子を
好きになったことなんてなかった。
そうだ。
これが両思いってやつだ。
何を怖がる必要がある？
すごく嬉しい、
幸せなことなんじゃないの？
ふと、自分が泣いていることに気付く。
何で私は泣いているんだろう。
慌てて拭う。
頬を叩く。
赤くなっていないかどうか鏡で確認をする。
駄目だ。
慧に、泣いたなんて知られたら、
今は駄目だ。
泣く必要なんてない。
私は何も分かってない。
幼馴染みとして慧が好き。
慧は、私の大好きな人。
家族みたいに、兄妹みたいに。
私は、慧の大好きな人。
だけど本当の家族じゃないから、
兄妹じゃないから、
私は慧に恋をしている。
私が、だ。
兄妹みたいな慧だって、
私を家族として見ているはずなんだ。
そう、このストーリー。
間違って、ない。
そうあり続けることを、望んでいた。
だって私はまだ中学生で、
慧も中学生だった。
＊
慧はもう、中学生だった。
慧は私に恋をした。
私は、子どものような私は、
慧との恋に、恋をしていただけだった。
自分で作り上げた恋物語。
それを壊したのは他ならない慧だった。
ハッピーエンドを望んでいなかったのに
訪れてしまったハッピーエンド。
私は、思わずそこに蓋をした。
自分勝手な、
あまりにも酷い選択だったと、今では思うのに。
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作者名：環
| 作成日時：2018年4月22日 12時
