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Tシャツから伸びる腕。
白くて細くて、柔らかそうで、
だけど触れてみれば
やっぱり女の子のそれとは違う。
腕が、私の頭の後ろに回る。
硬い。
慧の体。
抱きしめられているとはこういうことかと思う。
A「…くすぐったい、よ。」
慧「そ？」
A「…慧、あったかいなあ。」
慧「Aは、やーらかい。」
柔らかそう、だなんて思っていた相手に
逆にそう言われると
なんだか気恥しいような気持ちになった。
慧の足が、私の体に触れる。
慧が投げ出していた足を胡座をかくように曲げて、すっぽりと慧に包まれた。
細い、だけど意外に硬い、慧の体。
それに抵抗するには、
私の体ではあまりに貧弱すぎる。
慧の体が離れる。
何だろう、
この感じ、知ってる。
幾度となく漫画で、
ドラマで見てきた。
私は笑った。
至近距離で見る慧は、
やたら真面目な顔をしていた。
ねえ、やだよ。
何なのその顔。
やだ、ねえ、慧。
やめてよ。怖い。
だけど、近付くその顔に、
閉じるその目に、
私も条件反射のように目を閉じた。
触れたのはほんの一瞬。
だけど、時間が止まったみたいに私は動けなくなった。
心臓がありえないくらいに早かった。
目を閉じているせいか、
それしか音が聞こえなくなって
煩すぎるその鼓動に気持ちが悪くなりそうだった。
顔が熱くて、
訳もなく恥ずかしくて死にそうだった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年4月22日 12時
