シグナルチェンジ…Kei.I… (ページ11)

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この手で慧の肩を思いっ切り押せば済む話。

きっと慧は｢ごめん｣と言って離れる。

だけど、手が動かない。

頭がひどく痛くて、
心臓が聞いたことないくらい煩く鳴って

気持ち悪かった。

でも、この感覚は、

(ああ、そっか。)

軽く離れられる度に切なくなって、
すぐにまた絡んでくると妙に安心した。

苦しい。

息ができない。

でも、離れるのは嫌だ。

そんな私の気持ちを感じるのか、
それともただ慧がそうしたかったのか、

もう何度触れたのか分からないくらい。

もう、何してるの、私。

ていうか、何してるの、慧。

結婚、したんでしょ。

そんな指輪つけて。

結婚式だって挙げるんでしょ。

私のこと、
ちゃんと式に呼んでくれるって言ったじゃない。

ああ、何してるの、私。

ていうか、何してるの、慧。

こんなの、
慧らしく、なさすぎる。

ようやく力いっぱい慧の肩を叩く。

それでも慧は離れようとしてくれなくて
このまま舌を噛んでやろうかと思ったけど、

流石に躊躇われてもう一度、
慧の肩を思い切り自分から遠ざける。

瞬間、慧が寂しそうな顔をするから

何故か私が泣きたくなった。