2 ページ2
慧「A、」
聞き慣れた声に、私は後ろを振り返る。
私が歩き過ぎてしまっていたのか、
慧は改札の横、券売機の隣に寄りかかっていた。
肩にかけていた鞄をグイッと彼に押し出すと、
慧は苦笑いしながら私に向かって手を出す。
慧「はいはい、お嬢様。お持ちしま〜す。」
A「暑いー、今日なんでこんな暑いの？」
慧「ねー。最高気温28℃だって。
…………つーかこれ何入ってんの？おっも。」
A「仕事道具とか。ねーアイス買って。」
慧「…Aって本当に社会人やってんの？」
A「うるっさい。」
慧「はいはい、じゃ、いこ。」
A「アイス。」
慧「はいはい、コンビニ寄ってこ。」
慧が少し前を歩く。
私の渡した鞄を軽々と肩にかけて。
見たまんま華奢な腕なのに、私が引き摺って持ってきた鞄は何も入っていないように見える。
私はその鞄から解放された手で
慧が鞄を持つ手と反対側の腕を持った。
慧は「あちぃー」と文句を言ったけど、
私は離さなかった。
慧を見る。
慧も私を見る。
「んー？」って笑う。
私も笑う。
周りから見た私達は、
どういう関係に見えるんだろう。
10人中10人は恋人と答えると思う。
きっとそう思う。
だけど、
よく見れば慧の左手薬指には
指輪がはめられていて、
私の指にはそれがない。
だけど、
そんな些細なことは
一見誰にも分からないんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 361人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：環
| 作成日時：2018年4月22日 12時
