ポプリ...a short story... (ページ47)

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A「いま暇なの？」

侑李「なにが」

A「なにがって…
仕事以外になにがあるの」

暇なわけないでしょ！って言ってやりたいけど
それは流石に我慢する。

言ってやるもんか。
というか言えるわけがない。

侑李「別に。ちょっと時間貰ったから里帰りしてるだけだよ」

A「なーんだ、こんな時期に来るからてっきり事務所クビに…」

侑李「なるわけないでしょ」

ああよかった、クビじゃなくて！安心したー、
…って本当にほっとするんじゃないよ。

A「駄目だよ侑李、こんなとこで油売ってる場合じゃないよ」

侑李「なにが」

A「ちゃんとお仕事しなきゃ、ほされちゃうよー」

侑李「日頃これでもかって位やってるつもりなんだけど。てゆーか僕一人でどうこう出来ることじゃないし」

A「そっかー、話題作りに週刊誌にでもネタ提供しに行ってあげようかなー」

侑李「俺、を怒らせたいの？」

え、わかる？
とわざとらしく驚いてみたりしてるけど、

侑李「もう本当、呆れて言葉も出ない」

A「ありがと」

侑李「褒め言葉じゃないから！」

ああもう、どんどん僕のペースが崩されていく。
イラッとしてがしがしと自分の頭を掻いた。

身体を斜めに、Aの方に向けて
背もたれに右肘をついて頭を支える。

そのときまた、テーブルの端に置かれていた冊子のようなものが目に入ってもっと苛々した。

馬鹿らしい。

僕はこんな人間じゃないはずなのに。

侑李「A」

A「はーい」

侑李「お見合いするんだってね」

今日初めて優位に立てた気がする。

口をつけようとグラスを持っていた手が止まって、僕の方を見たAの顔が固まっている。

溜め息が出た。

これを確かめる為だけに此処に来た、なんて、

どうしたって言えるもんか。