ポプリ...a short story... (ページ43)

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人前ではいつもニコニコしてるくせに、私の前だと途端に俺様な宏太。

だけどやっぱり根は優しくて、
今もこうやって気遣って世話焼きをしてくれる。

料理は全く出来なくてもインスタントのスープなら作ってくれる。

ニヤニヤとはにかんでいると「気持ち悪、」と吐き捨てられた。

宏太「つーか…熱あんなら連絡してこいよ」

A「あ、そういえば休みなくなったんだよね？分かった……って返事送ったか」

宏太「超ー質素なやつな。キレてんのかと思った」

A「うそ、そんな送り方したっけ？」

ああ、それでうちまで来たのか。

私が怒ったってどうしようもないのに、
そういうとこ変にマメというか、律儀だ。

絵文字も言葉の柔らかさもない返信を気にして仕事上がりにご機嫌伺いに来てみれば、

まだ日付も変わってないのに部屋は真っ暗で、

私は寝ていて、

不貞寝でもしてるのかと起こそうとしてみれば何やら様子がおかしくて、

触れてみれば温度が高くて、

宏太が来たことにも気付かず眠りこけている私を案じて、

言いたいことも飲み込んで、

わざわざ薬と体温計を買ってきて、

仕事続きで疲れた体で看病させられて…

眠そうな顔をしてる。

早く帰って休んでもらったほうがいい。

毎日朝早くから夜遅くまで、
宏太の方がずっと大変なのだから。

宏太「連絡したんだから、ついでに言やいいだろ」

A「いや、どうせ私は明日には治ってるし」

宏太「そういう問題じゃねーだろ」

A「大丈夫だよ、私のはいつものことだから」

宏太「…それならそれで風邪薬くらい買っとけ。熱も計れ。自己管理をしろ」

A「はい……」

高いところから、熱い耳に不機嫌な宏太のお説教が痛く突き刺さる。