ポプリ...a short story... (ページ41)

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その次に目が覚めたのは意外と直ぐだった。

目を開けてぼんやりと見た壁の時計は23時前。

(……あれ、電気つけたまま寝たっけ。そもそも電気つけたっけ。うう……頭上げるの重い……)

宏太「お、起きた」

カーテンの外の真っ暗な夜空、だけど星の煌めきすら連想させるような、静かな声が傍から聞こえた。

その声でやっとまともに意識を覚ました私は声がした方を覗き見て、ベッドを背にすぐそこに座っていた宏太をしばらく見つめた。

A「……あ、れ…いつ、来てたの」

宏太「1時間くらい前」

A「気付かなかった……。
起こしてよかったのに」

時計を見上げた宏太は「わざわざ病人起こすかよ」と返しながら私に手を伸ばし、
冷たい手を顎の下辺りにあてた。

宏太「…いつから」

A「なにが？」

宏太「熱」

A「ああ……朝からちょっと体重いかなって感じで、仕事中にやっぱ無理だって早退してきてからずっと寝てた」

宏太「何度？」

A「……計ってない」

宏太「いや、なんでだよ。計れよ。つーかこの家、体温計あんのかよ」

A「えっと、確か……そこの引き出し、かな」

体温計の場所すら危うい私に宏太が溜め息を見せつける。

いつもより高い熱があるのは計らなくても分かったし、何度だろうと私は眠れば明日には熱が下がることを知っているから、わざわざ細かな数字を知らなくてもいいだろうと思った。

……なんて言うと宏太は「バカじゃねーの」と罵りながら、持っていた体温計を私に差し出した。