ポプリ...a short story... (ページ36)

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反省。

しばらくお酒は飲まない。

それから…しばらく彼のグループの取材は避けさせてもらおう。

そうだ、デビュー前メンバーの取材に行きたいって不二さんに相談してみよう。
そうしよう。

不二さんは、わりと自由に仕事をさせてくれる上司その二。

女の人。

そんな訳で、今回、アイドル雑誌担当のいちライターが滅茶苦茶な理由をつけて、

『既存グループのメンバーより将来有望なアイドルの卵の取材に行きたい』

などと言い出しても、
「中途半端な記事ならいらないからね！」と
笑って送り出してくれた。

そして、
見事中島くんと顔を合わせずに済んだ。

会いたくない、わけじゃない。

ただ、どんな顔をして会ったらいいのか分からない。

ここ何年かの私は仕事仕事、の毎日で、
異性への対応や恋愛のこなし方なんて
とっくに忘れてしまっていた。

あの忘れがたい朝からひと月が過ぎて。

アイドルグループのメンバーが多数出演する特別番組があるとかで、どうしても人手が欲しいと言われ、私はしぶしぶ不二さんについて行った。

A「絶対いるよ………」

「誰が？」

私の呟きに不二さんが反応する。

A「いえ、こっちの話です…」

「そういえば、中島くんが寂しがってたなー」

A「えっ！！」

予想外にリンクした人物の話題を振られ、
私は飲んでいたカフェラテでむせてしまった。

「誰かさんが最近取材に行かないから。心配してた」

A「は、はは」

私は引き攣った笑みをこぼす。

車を運転しながら不二さんが言う。

「なによ、大人気アイドルに気にしてもらえるなんて、光栄だと思わないの？」

そんなアイドルとの間にあった出来事を貴女は知らないから何とでも言えるんですよ。

とは勿論言えなかった。