ポプリ...a short story... (ページ24)

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光「……んじゃ、そろそろ帰ろっかな」

ごはんを食べて、借りてたＤＶＤを見て、
しばらくだらだら喋ってたら、時計を見て彼が言った。

そろそろ終電が近い。
これ以上此処にいたら確実に帰れなくなるから。

本人は気付いてないだろうけど、
すごく名残惜しそうな顔をして、言った。

それが淋しさからくるものだけじゃないこと、本当は知ってる。
知ってて、気付かない振りをしていた。

……だけど、

A「……いても、いいよ」

光「………A？」

彼が困惑したように私の名前を呼んだ。

A「…今日は、ここにいても、いいよ」

……分かりにくい言葉でごめん。
でも分かって。

臆病な私の、最大限の言葉。

最初は手を繋ぐだけで緊張して。

キスをしたときは、もっとドキドキしてた。
お互いに。

でもそれだけじゃ貴方が物足りなくなってきたこと、本当は知ってた。

心を許してないと思ってたんでしょ？

違うよ。

ただ、私が素直になれなかっただけ。
臆病だっただけ。

無表情を装って、
でもこれ以上ないくらい緊張するのは貴方だけなんだよ。

私がいいと思うのは、貴方だけ、なの。

光「…ほん、と、に？いい、の？」

しどろもどろになりながら確認する彼に小さく頷く。

どうしても顔を見ることが出来なくて、
点けっ放しだったテレビに視線を向けると
突然ブツッと画面が黒くなった。

思わず彼の方を見て、息を呑む。