ポプリ...a short story... (ページ2)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:62,695 hit

...2 ページ2

いきなり電話したのだってそう。

なんだか無性にAに会いたくなった。

別に昨日だって学校で会ったし、
帰りも一緒だった。

ただなんとなく、
今すぐ会いたいと思った。

気持ちとは裏腹に
ゆったりとした歩調で住宅街を歩く。

ビーサンのペタペタ言う足音が
やたらとこの静かな空間に響き渡っていた。

田舎の朝なんかは空気が冷え切っていて
とても静かな空間があるけど
都会のこの時間では空気はもう生ぬるい。

だけど、
こんなにも静かな時間があったことに
少し驚いた。

空は、星が見える暗闇なんて
殆どどこかへ消えていて
代わりにぼんやりとした
濃い青で染められていた。

きっとあと1時間ほどすれば
空は端から明るく色付いていくはずだ。

そんな、空を見上げながら歩いている俺の目に飛び込んできたのは道路の向い側にあるコンビニ。

やたらと光を発するそれを、
初めてうっとうしいと思った。

睨みつけるようにそれを見た後、
一瞬目を疑った。

何故だか分からないけど出てきた溜め息と共に、うっとうしいと思ったコンビニの方へ足を進める。

大貴「お前何やってんの」

A「アイス食べてんの」

コンビニの駐車場で、
あろうことか俺が会いたいと思ったやつが
座ってアイスを食っていた。

マンションまで歩くと10分ほどかかるから
その手間が省けた反面、
いろいろ突っ込みたいところはある。

そもそも何でこいつに会いたかったのか分かんねぇし、理由なんてなかった。

だからこいつを見て、
何故か落胆したのかもしれない。
あの溜め息は多分そうなんだろう。

頭をかきながらAの隣に座っても
こいつは何にも反応せずに
アイスを食べ続けた。