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A「え、いいよ！そんな、悪いし！」
侑李「でも大切なものなんでしょ？
もう暗くなるし、二人で探した方が見つかる確率上がるよ」
A「………あ…えっと、ボタン、なの。
これくらいのやつ」
百円玉くらいの大きさを手で作られて、
それを確認して頷く。
侑李「教卓の下とか見た？」
A「あ…、まだ」
教室の前方まで床を見ながら歩いて、
予想通り教卓の下に光るものを見つけてしゃがみ込んだ。
侑李「あったけど」
A「うそ？！」
拾いあげたそれを光にかざす。
中学校のボタン、かな？
真ん中に校章のようなデザインが描かれている。
それが何処の学校かまでは、分からなかった。
侑李「これでしょ？」
A「うん…！そう！これ！
うわ…知念くんありがとう！
全然見つからなかったのに！」
彼女があんまり大袈裟に喜ぶから、
その様子が可笑しくて少し笑った。
侑李「次から無くさないようにね」
A「あ、うん！はい！
あの…でも本当に、ごめんね…」
侑李「別にいいよ、すぐ見つかったし。
それよりAさん、
家、どこ？」
わざわざ取りに来たプリントを
忘れず鞄に入れて、振り返った。
A「あ、えっと…私、電車なんだ」
侑李「ふーん。
じゃあ途中まで一緒に帰る？
僕ん家、駅の向こうだし」
A「えっ！？」
驚いたような声をあげられて、
思わず眉をひそめた。
侑李「Aさんが嫌なら別にいいけど」
A「あ、ごめんなさい、違う、違うの！
その…知念くんが良ければ…、
暗くなってきたし、その方が嬉しい、です」
控えめにふわりと笑って、
今、鞄の用意するね。と
彼女は僕に背を向けた。
気付かれなかっただろうけど、
不覚にも一瞬、
その笑顔に見とれてしまった。
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作者名：環
| 作成日時：2016年9月5日 23時
