トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ8)

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侑李「………」

放課後の教室。

入学式の日から残る生徒もいないだろう、と
ドアを開けて数秒。

何故だか床に這いつくばっている女子生徒と目が合って停止した。

見間違い、という言葉が浮かんで、
けれどすぐにそれを打ち消す。

今、目の前にいるのは間違いなく、
ほんの数時間前に自己紹介していたクラスメイトの一人。

侑李「……何してるの？」

なんとか衝撃から立ち直って、
息を吐き出すように尋ねた。

相手も同じだったのか、
その問いかけに
まるで我に返ったかのように立ち上がる。

A「あ、あの、ごめん！

ちょっと探し物してて！あはは！」

スカートについた埃を払いながら、
誤魔化すように笑う彼女。

夕日が後ろから差し込んで
よく表情は見えなかったけれど、

泣いていたようだった。

侑李「…探し物？」

涙の影に気付かなかった振りをして
再度尋ねた。

彼女の横をすり抜けて、
自分の席へ行く。

A「あ、うん…

入学式の時はあったんだけど、
帰る時はもうポケットに入って…なくて」

言葉を濁す様子に、ふーん。と頷く。

A「あ、あの知念くん、は？」

侑李「僕？まあ別に…

明日提出のプリント忘れたのに家に着いてから気付いて、これ、取りに来ただけ」

机の中から数枚のプリントを出して見せる。

既に自分の名前を覚えられていたことに驚いたけど、それを表情に出さずに首を傾げた。

侑李「…何落としたの？

探すの、手伝う？」

圭人や涼介が聞いたら驚くだろうな。

頭の隅でそう考えながら、
自分でも驚いていた。

いつもなら、気にせず帰るのに。

僕らしくない。