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侑李「Aは、告白しないの？」
A「え…？んー…」
突然そう尋ねた侑李に困ったように笑う。
A「…たぶん、向こうはただの幼馴染みとしか見てないの、ね」
生まれてすぐから一緒で、
それこそ兄妹みたいに育ってきた。
一番近い存在だからこそ、
そういう対象としては一番遠い。
でも、それでも、
私は涼介を好きになった。
伝えることも、諦めることもできないまま、
もう何年経っただろう。
A「きっと届かないから。
どこかのタイミングで振られて、
きっぱり諦めるべきなんだろうけど…」
今はまだ、そんな勇気がない。
もう少し、涼介を好きでいたい。
侑李「…じゃあ、チャンスがないわけじゃないんだね」
A「……え？」
ぽつりと呟いた侑李の言葉に顔を上げる。
A「侑李……？」
侑李「気長に待つよ、僕は」
固まっている私の頭に手を乗せて
軽く二、三度撫でてから、侑李が立ち上がった。
侑李「そろそろ出よう。みんな戻って来る」
A「………」
侑李「A？」
何もなかったように手を差し出す侑李にポカン、とした顔になる。
侑李「まだここにいたいの？」
A「あ…帰る…」
差し出された手を借りて立ち上がる。
まだぼんやりしている私に、侑李が柔らかく笑った。
うまく働かない頭で
色々考えてるうちに家に着いて。
涼介から、文化祭に来れなかったことへの謝罪のメッセージが入っていて。
それすらもうまく頭に入ってこなかった。
戸惑う私を置き去りにして、
何かが音を立てて動き始めたのを感じた。
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作者名：環
| 作成日時：2016年9月5日 23時
