トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ40)

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涼介「……なーんか、
線香花火って一生懸命だわー」

A「は？」

突然意味不明なことを言う涼介に、
瞬きを繰り返す。

涼介「すげぇ短いけど、
最後まで必死で存在を主張してるじゃん？」

A「…どうしたの、涼介。
珍しく感傷的」

涼介「俺だってたまには真面目なんですー、」

A「あ…」

そう言った涼介の手元で、
火の玉が落ちた。

それを見て、涼介が黙る。

A「っ、涼介、
私の、まだ落ちてないよ…」

勝負、とかではなくて。

あまりにも涼介が哀しそうにするから
慌てて声を掛けた。

自分の花火をバケツに入れて、
戻ってきた涼介が私の隣にしゃがむ。

膝の上で気だるそうに頬杖をつきながら

「最近、こういう当たり前の瞬間がめちゃくちゃ大切だなー、って思う」

そう、ぽつり、と呟いた。

あの日の涼介の言葉の意味を知ったのは
かなり後になってから。

長い夏休みの中で、
涼介と過ごしたのはあの一日だけで。

結局、涼介の課題を手伝うことはなかった。

私はあの時、

線香花火がこのまま落ちなければいいと、
本気で願っていたんだ。