トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ39)

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視界の端で、
あからさまに涼介がうなだれている。

やれやれ。と、
大袈裟に溜め息を吐いてみせた。

A「…手伝ってあげますよ。
でも。
分からないところ教えるだけね」

強い口調で釘をさす私に、
涼介は目をキラキラさせて繰り返し頷いた。

涼介「マジ助かる！
ほんっと、今年こそダメかと思った」

A「最近忙しそうだもんね。
お仕事…もしてたんでしょ？」

実際、涼介の顔を見るのは、
一緒に帰った終業式の日以来。

涼介「あー…まあ、うん」

A「なに？」

涼介「…意外と…
俺も大変、ってことですよ」

はい最後、と手渡された線香花火。

それ以上話したくなさそうな涼介に、
私も聞く気をなくして線香花火を受け取った。

涼介「な、どっちが長くもつか勝負しようぜ」

A「えー、多分私勝つよ」

涼介「いや、なんでだよ！
やってみなきゃ分かんねーじゃん！」

A「はいはい、」

ロウソクから同時に花火の先端に火を点けて
じっと待つ。

じりじりと小さな火花を散らし始めるそれを、
涼介が黙って見つめている。

その横顔を盗み見て、首をかしげた。

何かうまくいかないことがあると、
分かりやすくその話をしたがらない涼介。

昔からそうだった。

でも、どこかいつもと違うように感じるのは、
それがわりと深刻だから、なのかもしれない。