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A「…なんで、侑李が出てくる？」
圭人「隠さなくてもOKだよ、
誰にも言わない。
ちぃちゃんと、付き合ってるんでしょ？」
けいと知ってるよ。と言われて、
思わず、はぁっ！？と声をあげた。
けど、此処は図書室。
勉強している生徒の迷惑そうな視線を感じ、
肩をすぼめて誰にともなく頭を下げる。
A「…圭人、誤解だよ」
小さい声で囁く。
確かに侑李とは他の子より仲が良いと思うし、
連絡もよくとるけど…
なにをどうしたら、
そんな話に発展するんだろう。
圭人「え？そうなの？
この間、花火大会で二人が仲良さそうにくっついて歩いてたって聞いたけど…」
A「いや、くっついて、って…
あれだけの人混みで離れて歩く方が大変だよ。
ていうか、友達なんだから花火くらい
一緒に見ても別に変じゃなくない？
…そもそも侑李と会ったのって偶然だし…
二人とも友達にドタキャンされて、
じゃあ一緒に回ろっか？って…」
まさか、噂になってたとは。
圭人「…ほんとに？」
A「ほんとだよ」
信じられないような顔をする圭人に、
嘘じゃないよ。と念を押す。
圭人「…じゃあ、
なんでそんなに溜め息吐いてるの？」
A「………ちょっと色々、ね…」
圭人「…ふーん、」
なぁんだ。と、
圭人は再びシャーペンを手に取って
くるくると回し始めた。
圭人「それは、それで…」
A「んー？」
聞こえた呟きに首をかしげると、
圭人は何でもないよ、と
首を振った。
圭人「それより課題、ファイト。
早めに終わらせておきたいんでしょ？」
A「そ、そうだけど…
圭人が話しかけてきたのに…！」
ぶつぶつ言いながら、
課題に向き直る。
真剣に数式と格闘し始めた頃、
頭上から
圭人の溜め息が聞こえた気がした。
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作者名：環
| 作成日時：2016年9月5日 23時
