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侑李「ほんとだ。
すごくよく見える」
いろいろ屋台を見て回って
遊んで、買い込んで。
喧騒を抜け出して
裏道を上がった所にある
人気のない公園。
そこから見える花火に、
侑李が感嘆の声をあげた。
A「ね？すごいでしょ！
何年か前に見つけて…
…それから毎年、ここなの」
イチゴシロップのかき氷を崩しながら話す。
ベンチに座った私の隣に
侑李も腰をおろした。
A「…ごめん…
いつも、一緒だったから…
今年一人でここに居なくて、良かった」
ヒュー、と音を立てて上がった花火が
大きな花を開かせる。
少し遅れて、バン、と音がした。
何発も続く花火に
すごい、すごいと大袈裟な程はしゃぐ。
その、不自然なまでの元気さに対して
侑李は何も言わなかった。
ただ黙って、隣で一緒に
空が明るく彩られるのを見ていた。
A「…さっき、ちょっと吃驚した」
花火の種類を変える少しの間。
まだ白い煙が残る空を見て
囁くように呟いた。
なにが？と侑李が問う。
A「時計台の下で会った時ね、
ちょうど、侑李のこと考えてた」
侑李「…じゃあ、
神様が会わせてくれたのかもね」
侑李がフッと笑みを見せた。
侑李「僕も、Aに会いたいなって、
考えてたから」
この日、
侑李に会えて良かったと思った。
話を聞き出そうとするんじゃなくて。
変に気を使ってくれるわけでもなくて。
他の人とは違う、
侑李の、
少し冷たくみえる優しさが
私には暖かった。
そのとき涼介が、
誰といたかも知らないで。
時計台の下で侑李に会えたことを、
神様に感謝していた。
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作者名：環
| 作成日時：2016年9月5日 23時
