トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ4)

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涼介「なあ、A、いる？」

卒業式も最後のホームルームも終わって、
卒業証書の入った筒を片手に
Aのクラスを覗き込んだ。

「お、山田じゃーん。Aの迎え？」

涼介「まぁね。Aどこ？」

廊下側の窓のすぐ近くにいた、
去年同じクラスだった男子に尋ねた。

卒業祝いに家族で食事に行くから、
今日は早く帰って来いと
母親二人にキツーく言われている。

「えーっと、A…あぁ、あそこ。

おーいA！
旦那迎えに来たけどー！」

いつもなら否定する言葉も、
今日は軽く無視。

そんな風にからかわれるのも
どうせもう、最後だし。

明日からは、
アイツが面倒事に巻き込まれることもないだろうから。

何処ぞの誰かに気を使う必要もない。

涼介「A、帰んぞ」

俺の呼び掛けに、
Aのクラスの女子たちが
恨めしそうに睨んでくる。

その真ん中で、
予想通りの泣き顔が振り返った。

A「っ、りょーすけぇー」

涼介「うぅわ、やっぱ泣いてる。

地元一緒なんだから、
またいつでもいくらでも会えるって。

んなことより、時間！」

ずかずかと教室に入っていって
Aの腕を引いた。